今や欲しい情報はインターネットから入手する時代であり、それは医療機関においても同様です。
実際、厚生労働省の調査によると、普段医療機関にかかるときの情報入手先として、「医療機関が発信するインターネットの情報」が2位に挙げられています。
(引用元:厚生労働省 令和2年受療行動調査の概況)
この調査から、医療機関においてホームページは、重要な役割を担っていることがわかります。
しかし、いざ病院やクリニックのホームページを作成しようと思っても、何に気をつけたらいいのか、どのように依頼したらいいのかわからない方も多いでしょう。そこで、本記事ではホームページにまつわる以下の内容をお伝えします。
- 医療機関に特化したホームページ制作会社
- ホームページを作成する際に注意すべき事柄
- 集患に効果的なホームページを作るためのコツ
初めてホームページを作成する方でも、医療機関に相応しいホームページを作成することができるようになるでしょう。ぜひ参考にしてください。
目次
【前提】病院がホームページを運営するメリット5つ
病院やクリニックがホームページを制作し、運営するメリットにはどういったものがあるのでしょうか。主なメリットを5つにまとめて解説します。
1. 病院を探している人(顧客)に見つけてもらえる
ホームページの制作により、顧客に病院の存在を知ってもらえる機会が増えます。病院は世の中にたくさんあるため、まずその存在を人々に認知してもらわなければ、選ばれることはないでしょう。
また、病院の情報を知りたいのは、その地域に住んでいる人だけではありません。引っ越してきたばかりで土地勘がなく、どの病院がよいか悩む人にとっても、ホームページは大切な情報元です。
ほかにも、大切な家族のために安心して通える病院を探している人も、インターネットの情報を事前にチェックするでしょう。このように、新しく来院される方を増やす手段として、病院の認知度を上げるためのホームページが必要だといえます。
2. 患者に安心感を与えられる
ホームページ上で病院の情報を詳しく開示することで、顧客の不安をやわらげ、安心して診察に臨んでもらいやすくなります。病院を利用する人は、少なからず体の不調や不安を抱えています。ましてや初めて行く病院なら、「自分はちゃんと診察してもらえるだろうか」と心細くなるはずです。
ホームページ上で、「どんな先生やスタッフが働いているのか」「病院の外観・内観はどうなのか」「得意な治療について」などの情報を事前に開示することで、そうした病院に対する顧客の不安を取り除けるでしょう。さらに、顧客の安心感を高めるオープンな情報開示により、病院への信頼感もアップします。
3. ビジネス上での信頼感が得られる
診療情報や新しい技術、病院の取り組みなど、さまざまな情報をホームページ上で積極的に発信することは、病院のブランディングにつながります。
顧客の役に立つ、精度の高い情報をアップし続けることにより、その記事を見た人が来院する可能性が高まります。そうして「この症状なら、ここの病院がいい」と認知してくれる顧客がたくさんついてくれば、スタッフのやりがいも大きくなり、離職率の低下も期待できるでしょう。
このように「顧客が多く、安定経営の病院」というブランディングができれば、ビジネスを行ううえでも取引先からの信頼感を得やすくなります。
4. 経費削減につながる
病院の営業時間や各種ワクチンの予約状況、顧客からの質問が多い内容などをあらかじめホームページに掲載しておくことで、電話での問い合わせを減らせます。病院スタッフが電話対応に費やす時間が少なくなれば、そのぶん他の仕事や対応に手を回せるようになり、結果として経費の削減が期待できます。
顧客にとっても、電話のつながりにくさは病院を選ぶうえでマイナス要素となります。ほかの病院にかかることを検討する人もいるかもしれません。
ホームページを確認することで疑問が解決でき、電話のつながりやすさを確保できれば、病院・顧客双方のメリットとなります。ホームページ上でも診察予約が可能なシステムを導入すれば、より利便性とコスト削減効果が高まるでしょう。
5. 求人募集のツールのひとつとして活用できる
病院の情報を詳細に伝えるホームページがあることは、仕事を探している求職者からもプラス評価を得やすくなります。
なぜなら、求職者は就職活動の際、「どんな病院なのか」「どんな人たちと働くのか」「自分はその環境になじめそうか」といった不安を抱えており、事前に情報を調べようとするからです。こうした求職者の不安や悩みを、応募前に払拭できるようなホームページを持つ病院やクリニックは、採用活動において優位であるといえます。
採用活動にお悩みの病院やクリニックの方は、媒体への求人募集とともに、ホームページも整備することをおすすめします。
病院・クリニック向けのホームページ制作会社7選
ホームページを作るメリットや注意点がわかったところで、最後にホームページの制作依頼ができる会社を3社ご紹介します。いずれの会社も医療系のホームページ作成に精通していますが、少しずつ特徴が異なります。病院の状況に合わせて、最適な会社を探してください。
1. DEPOC
医療機関に特化したホームページ制作をはじめ、人材紹介や学会の運営などから、医療を通じた社会貢献を目指す会社です。病院やクリニックだけでなく、大学医局や医療系の求人ページなどの制作実績も豊富です。
株式会社DEPOCの特徴は、徹底的に写真・動画の美しさにこだわり、病院の魅力を引き出してくれるところにあります。作るホームページも視覚的にわかりやすく、シンプルながらもコンテンツが充実したものが多いです。そのため、写真や動画をふんだんに使い、雰囲気や空気感で魅力をアピールしたいと考える病院におすすめです。
制作費用 | 1,000,000円~ |
運用費用 | 15,000円~ |
2. HERO innovation
医科・歯科専門のホームページ制作会社です。Webに対する知見が豊富で、多くの医療ホームページを制作・コンサルティングしてきた実績があります。
株式会社HERO innovationの特徴は、何といってもホームページ制作後の手厚い運用サポートです。開設後、同社で開発した情報収集ツールを病院に提供することで、病院は顧客や来院エリアの分析が可能となり、Webでの来院予約やクラウド問診機能なども使えるようになります。病院運営にあたり、ホームページからさまざまな情報を収集・分析したいという病院にマッチするでしょう。
プラン | システムセレクト | システムオリジナル | オリジナル | プレミアム |
制作費用 | 165,000円 | 330,000円 | 660,000円 | 1,430,000円 |
制作ページ数 | 5 | 10 | 10 | 10 |
プランの特徴 | テンプレートから作成 | 業界専門スタッフによるディレクション | デザイナーがオリジナルデザインを作成 | オールインパッケージ |
3. アーティス
株式会社アーティスは他業種のホームページ作成を請け負う中で、病院やクリニックなどの医療機関のホームページ制作にも力を入れています。また、WebマーケティングやWebコンサルティングの事業もおこなっているため、ホームページの運用や分析・解析の観点からも実績が豊富な制作会社と言えるでしょう。
同社が行なった満足度調査では、制作物への満足度100%、デザインへの満足度96%という高い満足度を誇っており、安心して政策を任せられる制作会社です。
制作費用 | 150万円~ |
制作期間 | 3ヶ月~ |
4. お医者さんドットコム
お医者さんドットコムは、クリニック向けと病院向けの2種類の料金体系を用意しており、ホームページ制作に多大なコストをかけられない小規模クリニックにもおすすめのホームページ制作会社です。トップページに写真を大きく使ったホームページが自慢の制作会社のようです。
また、レスポンシブデザインへの対応や、電話・メールでのホームページ公開後のサポートも充実しており、初心者の方でも安心して政策を任せられるでしょう。
クリニック向けプラン
お手軽ライト版 | おすすめ標準版 | オリジナルプロ版 | プレミアム版 | |
初期費用 | 30,000円 | 50,000円 | 450,000円~ | 850,000円~ |
月額費用 | 4,500円 | 7,500円 | 15,000円~ | 25,000円~ |
病院向けプラン
病院スタンダード版 | 病院プレミアム版 | |
初期費用 | 500,000円~ | 850,000円~ |
月額費用 | 15,000円~ | 25,000円~ |
5. mirahos(ミラホス)
ミラホスは総合病院のホームページ制作に精通したホームページ制作会社です。全国からホームページ制作依頼を受け付けており、450以上のホームページ制作実績を誇ります。医局のホームページや採用サイトの作成もおこなっており、幅広いホームページ制作に対応しているのも大きな特徴です。
6. Medeia Contents Factory
メディアコンテンツファクトリーでは「医療を、もっとわかりやすく」という理念のもと、ホームページ制作に限らず、WEB問診や電話自動応答システムなど様々なサービスを提供しています。
ホームページ制作においては、一万点以上のイラスト・シェーマ素材やレスポンシブ対応、健康情報自動更新など充実したサービス内容となっています。プランはクリニックと病院に分かれ、自院に合わせたホームぺージが作れるでしょう。
7. Web Stage
ウェブステージはホームぺージ制作会社の中でも集客に力を入れているので、集患にお悩みの方におすすめです。これまで、累積1,000件以上の医療系施設のホームぺージを構築した実績もあります。詳しい料金は、病院やクリニックの要望によって変動しますので、まずは無料相談をして見積もりを出してみましょう。
料金体系や制作にかかる期間など、詳しくは実際にお問い合わせください。
病院・クリニックがホームページを制作する際の4つの注意点
医療機関のホームページ制作では注意すべきポイントがあります。以下の4点をしっかりと押さえ、不備のないホームページを作りましょう。
1. 医療広告ガイドラインを遵守する
「医療広告ガイドライン」とは、厚生労働省が発行する「医療広告に関する指針」のことを指します。2018年6月より、病院ホームページにも適用となりました。そのため、ページ内のコンテンツは、 医療広告ガイドライン を遵守する必要があります。これに違反すると、罰則や是正が命じられる可能性もあります。
たとえば、「絶対安全です」のような虚偽表現や、「日本一」といった比較優良表現については、原則記載ができません。また、術前術後の写真を加工し手術の有用性を示すことは、誇大広告とみなされ規制対象となります。
そのほか、未承認の医薬品による治療内容は広告が許されておらず、もちろん公序良俗に反する内容の広告も禁止です。(引用元:厚生労働省医療広告ガイドライン)
こうした表現方法などにも注意を払い、信頼されるホームページを作ることが大切です。
2. 誰にでも使いやすくわかりやすいUI/UX設計を施す
ホームページを作るうえで意識しておきたいのは、どんな人にも使いやすく、わかりやすいUI/UX設計になっているかという点です。
UI(ユーザーインターフェース)とは、ユーザーの目に触れる部分や使用する部分のことです。ホームページの場合、そのデザインやフォントなどがこれにあたります。「どこに何が書いてあるのかわかりやすい」「文字が読みやすい」ページは、顧客の離脱を防ぎます。
また、UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、製品・サービスを通じて得られる体験を指します。ホームページであれば、「簡単に診察予約ができた」「知りたいことがすぐ解決できた」といった体験が価値となるでしょう。
病院を利用する顧客は、老若男女すべての人といえます。そのため、特定の性別・年代ではなく、誰にでもわかりやすいUI/UXを意識したホームページが必要となるのです。
3. スマートフォンにも対応したデザインにする
スマートフォンからアクセスしても、顧客にストレスのないデザインかどうかは、忘れず確認したいポイントです。現在は、PCではなくスマートフォンでインターネットを使用する人も増えています。そのため、いくらPC上でわかりやすいUI/UX設計がされていても、スマートフォン上でホームページが使いにくければ、顧客が離れていく可能性は否めません。
「スマートフォン上で画面はどう見えるか」「タップする項目の大きさは適切か」「顧客の知りたいことを意識したコンテンツ順になっているか」など、細部まで入念に確認しておきましょう。
ホームページをスマートフォン対応にすることで、Googleの検索エンジンからの評価が上がったり、ユーザーのストレスを軽減したりできるというメリットがあります。
ホームページのスマートフォン対応に関する詳しい情報は以下の記事に掲載していますので、参考にしてください。スマホ対応していないリスクについても解説しています。
4. 保険適用の可否をわかりやすく説明する
医療機関で診療を受ける際、自由診療の費用は非常に高額になります。保険適用だと思って受けた治療が、実は自由診療だったという場合、顧客との大きなトラブルに発展しかねません。誰にでもわかるよう、保険適用については、しっかりと記載しておく必要があります。
実際の説明も、もちろん大切ですが、ホームページに掲載していれば、顧客の理解度が飛躍的に向上するでしょう。医療広告ガイドラインでも、自由診療の料金は明記しなければならないと定められています。
集患に効果的な病院・クリニックのホームページを作るためのコツ
ホームページを作成する目的として、新規患者の獲得率や既存患者のリピート率向上をあげている方も多いのではないでしょうか。そんな目的を達成するためには、ホームページ作成時にデザインや掲載する情報で工夫する必要があります。
この章では、具体的にどのような工夫を施せば良いのか解説していきます。
デザインを工夫する
医療機関のデザインで大切なのは、患者に「この病院なら安心して通えそう」と思ってもらうことです。そのためには、安心感や誠実さを伝えられるデザインにしたり、清潔感を前面に押し出すデザインにするなどの工夫ができます。
また、病院やクリニックは定期的に通うことになるケースがほとんどですので、予約しやすかったり、休診日や診療時間など必要な情報がわかりやすく配置されていたりすると丁寧です。
初めてホームページを訪れたユーザーが予約方法にたどり着きやすいよう、わかりやすい導線を引いてあげることも重要です。
掲載する情報を工夫する
ホームページを訪れたユーザーが知りたい情報を得られるよう、掲載する情報には特に注意が必要です。医療機関のホームページともなると、他のサイトにはない項目が必要な場合もあります。病院・クリニックのホームページに掲載すべき情報は主に以下の7点です。
1. 診療内容
2. 診療時間
3. 医師紹介
4. 施設紹介
5. コラム
6. アクセス・電話番号
7. 予約フォーム(ネット予約できる場合)
病院・クリニックのホームページデザインや掲載する情報について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。実際のデザイン例も掲載しています。
特に、病院を探している患者は精神的にも不安を抱えているケースが多いため、どんな医師が担当するのかを丁寧に説明し、患者の不安を軽減する工夫が重要です。その際、担当医の顔写真付きで紹介がされているとより安心感を与えられるでしょう。
予約フォームを設置する
集客を重視した場合、予約フォームの設置は特に優先度が高いです。なぜなら、予約フォームを設置することで、24時間予約受付が可能になるからです。普段忙しい患者でも予約フォームがあれば簡単に予約を完了することができます。
また、予約フォームを設置するメリットは病院・クリニック側にもあります。それは、電話対応の手間を省けることです。予約フォームを活用することで、自動で予約が完了するため、これまで電話対応に割いていたリソースを別のところに使えるようになるのです。
以下、医療機関におすすめの予約システムを3つ紹介するので、参考にしてください。
メディカル革命
メディカル革命はGMOが運営している医療機関特化型の予約システムです。LINEとの連携が可能であり、患者はスマートフォンから簡単に予約を完了させることができます。また、電子カルテとの連携をすれば来院処理の自動化も可能です。
さらにキャッシュレス決済の導入で、予約から決済まで自動で完結させることもできるとても便利な予約システムです。
初期費用 | 200,000円~ |
月額基本料金 | 20,000円~ |
ドクターキューブ
ドクターキューブは2021年10月時点で400県以上の導入実績を誇る、医療機関員特化した予約システムです。LINEとの連携で、予約確認や予約状況等の連絡ができる機能もあります。また、ドクターキューブから、リアルタイムで院内の診療状況を確認することができるサービスもあるため、待合室の混雑緩和にも役立ちます。
料金については実際にお問い合わせください。
アイチケット
アイチケットは、「どこでも待合室」をコンセプトにした予約システムです。皮膚科や耳鼻科など、さまざまな診療科での導入実績があります。シンプルな操作画面を重視した設計になっているため、幅広い層をターゲットとする医療機関には最適の予約システムといえるでしょう。
予約システムの利用目的ごとにいくつかのプランが用意されているのも特徴のひとつです。料金については実際にお問い合わせください。
ここまで、医療機関に特化した予約システムを紹介してきましたが、導入業種を絞らない、より汎用性の高い予約システムも多数あります。以下の記事では業種を問わずおすすめの12個の予約システムを紹介しています。
失敗しない予約システムの選び方についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
病院やクリニックがホームページを開設することにより、認知度や顧客信頼度の向上が見込めます。情報発信を続けていけば、顧客との結びつきはより強くなり、コスト削減による経営の安定やスムーズな採用活動にもつながるでしょう。
しかし、ホームページ開設においては使用する表現や利便性のあるサイト設計など、注意すべき点が多いことも事実です。そのため、ノウハウのある会社に相談のうえ、制作を進めることをおすすめします。わかりやすく丁寧なホームページを作り、たくさんの人に病院の魅力を伝えていきましょう。