ホームページを既に持っている方やこれから作成しようと考える方にとって、ホームページを維持するのにどれくらいの費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。
維持費は項目も多く、専門的なものもあるため、簡単に理解できるものではありません。ホームページを運用しようと考えたとき、誰もが直面する課題です。
上記にある疑問や課題を解決するため、本記事ではホームページの維持費にまつわる情報を徹底的に解説しています。具体的には以下に挙げた内容を掲載しています。
- ホームページに維持費がかかる理由
- ホームページ維持費の内訳・相場
- 維持費をおさえるコツ
適切にホームぺージを運用するためにも、是非本記事を参考にしてください。
目次
【前提】ホームページに維持費がかかる理由
そもそも、なぜホームページに維持費がかかるのでしょうか。それは、公開後も適切にホームページを保守していくために、運用保守・運用改善といった工程が必要になるからです。
そこで、この章では維持費の発生源である運用保守と運用改善の内容について、簡潔に説明します。
運用保守に含まれる工程
それでは、まず初めにホームページの運用保守についてです。主なものとして5つ説明します。
ドメインやサーバーの維持・管理
ドメインとサーバーはホームページを保持するのに欠かせない二大要素です。一方で、これらは一般に1年に一度の更新が必要になります。更新作業を忘れると、ホームページを維持できなくなってしまうので、注意が必要です。
SSLサーバ証明書の維持・管理
SSLサーバ証明書は、ホームページ運営者の実在を確認するための仕組みです。この証明書はなりすましやデータの改ざん、盗聴などのリスクを回避する役割を持ち、ドメインやサーバーと同じように更新が必要なものです。
CMSのアップデート
ホームページを作成する際にCMSツールを使用した場合には、CMSのアップデートが必要で、そのための費用も維持費として数えられます。現在あるホームページ作成サービスはそのほとんどが何かしらのCMSを使っているので、必ず確認するようにしましょう。
データのバックアップ
大切なデータのバックアップは重要な運用保守のひとつです。データの消失は企業にとって大きな損失となるので、バックアップを行うことに加え、適切にバックアップが取れているかの確認まで忘れずに行いましょう。
外部連携の仕様変更対応
ホームページとSNSを連携して運用している場合には、SNS等の外部連携で仕様変更があった場合にホームページ上の情報も併せて更新しなければなりません。特に費用が発生する項目ではありませんが、ホームページの編集を自社で請け負えない場合や、そのようなプランに加入している場合には更新費用が必要となることもあるでしょう。
運用改善に含まれる工程
運用改善は、運用保守と違って必ず行う必要があるわけではありませんが、より良いホームページへと改善していくために欠かせない作業です。それでは運用改善の主な内容について見ていきましょう。
コンテンツの更新・追加
コンテンツが全く更新されないホームページでは、アクセス数の向上が見込めません。ホームページを集客のために運用しているといった場合には必ずコンテンツの更新・追加の作業が必要になります。
トラブル対応
ホームページを運用していると、突如トラブルに見舞われるということも考えられます。サイトが正しく表示されない、メールが送信されないといったトラブルに対応することも、ホームページ運用の欠かせない作業です。
SEOなどのコンサルタント(分析・改善)
ホームページを運用している場合、ホームページ運用から期待する目標があるはずです。その目標を達成するために必要なのが、現状を分析して改善していくことです。そのためのコンサルタントも重要な運用作業のひとつであり、維持費の大部分をコンサルタント費用が占める場合も少なくありません。
ホームページ維持費の内訳と相場
ホームページを運用するためには維持費が必要です。ひと言に維持費といっても、以下のような複数の項目があるため、複雑に感じてしまうかもしれません。
- サーバー費用・ドメイン費用
- SSL費用
- CMS等の更新・管理費用
- コンテンツの更新・追加費用
- トラブル対応費用
- 広告費用
- SEOなどのコンサルタント費用
しかし、内容を理解しないまま制作会社に依頼してしまうと、必要以上にランニングコストがかかる可能性もあります。このような事態に陥らないよう、維持費の内容や一般的な相場を知っておくことが大切です。
それでは、ホームページ維持費の主な項目や相場についてみていきましょう。
サーバー費用:年間数千円~数万円
ホームページの開設・運営に必要なサーバーには、専用サーバーとレンタルサーバーの2種類があります。専用サーバーは、自由度の高い本格的なホームページを作成したい場合に適していますが、自身で構築や運営をしなければならないため、専門的な知識を持った人材を確保しておくことが大前提です。
最近では、多くのケースで低価格のレンタルサーバーが利用されています。レンタルサーバーの費用相場は会社によってさまざまですが、年間数千円~数万円の低価格で使えるレンタルサーバーもあります。ホームページの規模や用途に合わせて、プランを選定してください。
おすすめのレンタルサーバーを紹介しますので、是非比較してみて下さい。以下の表でおすすめのレンタルサーバーをいくつか紹介します。
エックスサーバー | ConohaWing | ロリポップ | ミックスホスト | |
初期費用 | 3,300円 | 0円 | 1,650円 | 0円 |
月額費用 | 1,100円~ | 931円~ | 550円~ | 1078円~ |
サイトの表示速度 | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ |
無料常時SSL化 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
バックアップと復元 | 0円 | 0円 | 有料 | 0円 |
ドメイン費用:年間数百円~数千円
Web上で住所のような役割を持つドメインも必要不可欠なものです。
よく目にするのは「.com」「.org」「.jp」などですが、これ以外にも多様な種類のドメインがあり、取得と更新の際に支払いが発生します。
年間で数百円~数千円が相場で、特にこれといったこだわりがない場合には、安価で提供されているドメインも含めて検討してみるとよいでしょう。
.com | .jp | .co.jp | .net | |
平均金額 | 1,408円 | 1,628円 | 4,158円 | 1,628円 |
特徴 | 商用サービスや企業向け | 日本を意味 | 日本国内で登記を行っている会社向け | ネットワークに関するサービス向け |
また、自分に最適なドメイン名が見つかったら、利用前に以下の点をチェックし、慎重に管理していきましょう。
・ドメインの権利者を確認する
ドメインは申し込みをした当事者に権利があります。基本的には依頼者側に権利があるはずですが、Web制作会社にホームページを作成する場合はトラブルを避けるためにも権利が誰にあるのかを確認することが望ましいです。
・中古ドメインは避ける
2010年前後に中古ドメインが非常に高いSEO効果を発揮していた時期がありました。検索エンジンのアルゴリズムが進化した現在ではあまりSEO効果は期待できません。そのため、なるべく中古ドメインの利用を避けましょう。
・更新手続きを忘れない
独自ドメインは一年に一度更新する必要があります。更新手続きを忘れてしまった場合再取得の際に費用が追加で発生してしまうため注意しましょう。
ここまでドメインについて様々な説明をしてきました。以下の記事では更に詳しくドメイン種類や独自ドメインを取得するメリットについて説明しています。あわせてご覧ください。
SSL費用:年間数千円~十数万円
セキュリティ強化に役立つSSLの導入は、閲覧者に安心感を与えます。発行される「SSLサーバー証明書」は、信頼できるサイトであることをアピールするのに役立ちます。SSLには運営元が調べている項目の数で、認証レベルが以下の3段階に分けられています。以下の表で認証レベルや項目、年間費用相場を確認してください。
ドメイン認証型(DV) | 企業認証型(OV) | EV認証型 | |
認証レベル | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ |
認証項目 | ドメイン利用権 | ドメイン利用権 組織の法的実在性 | ドメイン利用権 組織の法的実在性 組織の物理的実在性 |
年間費用相場 | 数千円~数万円 | 数万円 | 数十万円 |
なお、無料で使える「Let’s Encrypt」というSSL証明書もありますので、必要に応じてどの認証レベルにするか検討してみましょう。
CMSなどの更新・管理費用:月額5,000円~10,000円程度
CMSを導入している場合、CMS利用料のほかバージョンアップに伴うメンテナンスや更新作業に必要な費用がかかります。
多種多様なCMSがあるため、搭載する機能やライセンスの有無によってもかかる費用は異なります。月に1回の更新作業が必要なケースでは、月額5,000円~10,000円前後が一般的な相場です。
比較的自社で運営する比重が大きいWordPressやHTML・CSSといった作成方法は、管理に注意を払う必要があります。自身での管理が困難な場合には、制作会社に依頼したりホームぺージ作成ツールを利用した方が賢明でしょう。
なぜなら制作会社やホームページ作成ツールのセキュリティ対策は既に会社ごとに行われている場合が多いからです。そのため、利用者は特別にセキュリティ対策を講じる必要はありません。
以下の記事では無料から始められるホームページ作成ツールを12社紹介していますので参考にしてください。
コンテンツの更新・追加費用:1回の更新で5,000円程度
良質なホームページを維持するために、定期的なコンテンツの更新は欠かせません。常に新鮮な情報を提供することで既存ユーザーのサイト離れを防ぎ、新規ユーザーの獲得を目指します。コンテンツの更新や管理に必要な費用は、その頻度に応じて変動します。
自身での作業が可能ならば費用は抑えられますが、定期的に忘れず更新するには、それ相応の工数が必要です。社内のリソース不足が課題となる場合には、専門の制作会社に依頼するという選択肢もあります。
外注した場合の費用は、対応する範囲によって変動することがほとんどですが、1回の更新で5,000円程度が一般的な相場です。
広告費用:月額1,000円程度
自社の商品やサービスをまだ知らないユーザーに向けて、興味を持ってもらうために有用なのが広告の掲載です。ユーザーの興味を引き付ける画像や動画、ビジュアルを重視したバナー広告、ユーザーが検索に用いたキーワードに連動するリスティング広告などが一般的です。
バナー広告には、クリック課金型やアフィリエイト広告のような成果報酬型などがあります。リスティング広告を採用する場合は、月額1,000円程度からすぐに出稿できます。
SEOなどのコンサルタント費用:年額数百万円~数千万円
アクセス数を増やし、問い合わせや売り上げなどの成果を上げたい場合には、SEO対策を行うコンサルタントへの依頼が効果的です。費用は依頼の目的や対策内容によって大きく異なり、契約期間も会社によってまちまちです。
SEO対策にかかる費用は高額になることが多く、ブログやSNSの運用なども合わせて依頼する場合には、年額数百万円から数千万円ほどかかるケースもあります。
高額な費用をかけて外注するのであれば、できるだけ成果につなげたいと誰もが考えるでしょう。実績のある企業を選んで相談すれば、より良い結果が期待できます。
SEO対策とは?
SEO(エスイーオー)とは、Search Engine Optimizationの略で、その直訳どおり「検索エンジンを最適化する」テクニックのことを指します。ここで言う最適化とは、検索時に上位にサイトが表示されるように、サイトを最適な状態に準備しておくことです。
SEO対策を行うと、Googleなどの検索エンジンからの評価が上がり、検索順位で1位表示されるようになると、約30%ものクリック率が見込めるというデータもあります。
以下の記事では、SEO対策を外注する際に気をつけたいポイントやSEO対策に役立つツールの紹介について掲載しているので、こちらもあわせてご覧ください。
運用代行会社: 株式会社Jクリエイティブ ワークス
SEO対策は専門的な知識を要することもあるため、代行会社への外注もおすすめです。
メーカーや金融など、あらゆる業界において実績がある企業です。ホームページのフロー設計に強みがあり、クライアントへのヒアリング内容を軸に、成功を導くためのガイドラインやルールを策定します。
以下の記事ではホームページ運用代行会社の選定ポイントについて紹介しています。選定ポイントを参考にしながら、上記に挙げた以外の運用代行会社も検討しましょう。自社の抱える問題を解決できるような会社を選ぶためにも、是非参考にしてください。
トラブル対応費用
「サイトにアクセスができない」「関係のないコンテンツが表示されている」といったトラブルを未然に防ぐための監視や、起こってしまったトラブル対応にかかる費用です。
問題をそのまま放置してしまうと、サイトの信用に大きく影響するため、迅速な解決が求められます。制作会社に保守作業を依頼しておけば、複雑なトラブルが起こった際でも慌てずに済みます。
費用は制作会社によって差があり、対応の範囲も異なるため、契約前に詳細を確認しておくと安心です。
【目的別】維持費を安く抑えるコツ
前項では維持費の内訳や各相場について紹介しましたが、可能な限り維持費を削減しなくてはならない場合もあるでしょう。ここでは、必要最低限の維持費から、管理・更新に力を入れたい場合にかかる費用まで、目的別に紹介します。
必要最低限にかかる維持費
最低限の維持費でホームページを運営する場合「サーバー費用」と「ドメイン費用」の2つがあれば、サイトは機能します。低コストでの運営に重点を置くのなら、制作会社へ依頼せずに維持管理の全般を自身で実施し、SSLは無料のものを導入するとよいでしょう。
安価なドメインと低価格なレンタルサーバーを選定すれば、年額数千円からホームページを維持できます。小規模サイトの運用やリソースに余裕がある場合には、この方法でも無理なく管理できるでしょう。
また、専門的な知識を備えた人材を育成したい場合にもおすすめです。自身の成長と共にホームページの品質が向上していくという充実感も得られます。
一般的にかけられている維持費
必要最低限の2項目に加えて、「コンテンツの更新・管理費用」を行うケースが多いです。最低限の維持に加え、労力のかかるコンテンツの更新・管理や、信頼に関わるトラブル対応を依頼すれば、比較的良質なホームページを維持することができます。
費用相場は、月額5,000円程度から20,000円ほどが一般的です。
また、コンテンツの更新頻度を増やしたい場合や、新規ページの追加を依頼する際に、追加費用が発生することもあります。企業によってはトラブル対応も含まれているため、契約前の時点で対応範囲を把握しておくようにしましょう。
ひと月にどれくらいの頻度で写真と文章を更新したいのかをシミュレーションしておけば、予想外の出費で慌てることもありません。
しっかり管理・更新している場合の維持費
維持作業を会社へ依頼する場合には、「CMSなどの更新・管理」や「月次レポート」などのサポートサービスが追加されます。メンテナンスを外注することにより、正常な状態でサイトが維持され、更新作業に社内リソースを費やす必要もないため生産性の向上も見込めるでしょう。
月次のレポートからは、SEO対策でどれだけ自社サイトへの訪問者が増えたか、広告のクリック数がどれだけ伸びたかなどを知ることができ、今後の施策に役立ちます。
この場合の維持費は、月額20,000円~50,000円ほどですが、依頼する企業によって大きく変動します。
また、集客のためのコンテンツマーケティングやSEO対策など、利益向上を目的としたコンサルティングを依頼する場合は、別途で費用がかかります。
以下の記事ではホームページでの集客力アップに役立つ情報が記載されています。集客できていない原因や無料でできる集客方法について詳しく説明しています。外注する前に改善できる点も見つかるかもしれません。あわせてご覧下さい。
ホームページに使える3つの補助金制度
これまで目的別に維持費を安く抑えるコツについて紹介してきました。本章では更にホームページにおける維持費を押さえられるよう、ホームページ制作に使える補助金制度について解説しています。
一目でわかる!補助金制度
小規模事業者持続化補助金 | IT導入補助金 | 地方自治体のホームページ作成費用補助金 | |
説明 | 日本商工会議所が提供している補助金制度 | 経済産業省管轄の補助金制度 | 地方自治体が提供している補助金制度 |
対象者 | 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいる「小規模事業者」 一定の要件を満たした「特定非営利活動法人」 | 中小企業・小規模事業者等 | 各自治体によって異なる |
補助金額 | 必要経費の3分の2、最大50万円まで | A類 補助率2分の1/補助額30万~150万円 B類 補助率2分の1/補助額150万~450万円 C類 補助率3分の2/補助額30万~450万円 D類 補助率2分の1/補助額30万~150万円 | 支給額の相場は数万〜数十万円ほど 支給要件などの詳細は自治体ごとに異なる |
参考 | 日本商工会議所令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金 | IT補助金2021 | アイミツ【2022年最新版】ホームページ制作で使える補助金や助成金まとめ |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、日本商工会議所が提供している補助金制度です。基本的には数人から十数人規模の小規模事業者(営利団体)が対象ですが、特別な要件を満たした特定非営利活動法人が申し込める場合もあります。
小規模事業者持続化補助金では、ホームページの制作を含む商品の販路拡大や生産性向上に関する取り組みを支援してもらえます。
令和4年1月12日をもって小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型の審査業務は終了となっているので注意しましょう。代わって、低感染リスク型ビジネス枠が新たに利用できるので本記事でも後述します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、経済産業省管轄の補助金制度です。この制度ではECサイトなどのホームページ制作のほか、会計システムや業務システムなど業務効率化に有用なITツールの導入について小規模事業者や中小企業を支援しています。
2021年度は従来のA類型、B類型に加え、新型コロナウイルスの感染予防に有用な非対面型業務形態への移行に取り組む企業に対して、特別枠としてC類型・D類型も設置されています。
※CMSツールは補助金の対象とならない(会員管理機能などあれば使える可能性あり)、1回の支払い金額が60万円以上ない場合は対象とならない
地方自治体のホームページ作成費用補助金
地方自治体が独自にホームページ制作費用を補助・助成している場合もあります。ただし、国による小規模事業者持続化補助金と、各自治体による補助金の併用はできないのでご注意ください。それぞれの支給要件や支給金額を比較検討してからどちらに申し込むか決めると良いでしょう。
以下の記事では、それぞれの補助金における対象業種やスケジュール、補助額について記載しています。より詳しく知りたい方は参考にしてください。
まとめ
このように、ホームページ維持費の内訳や、その内容を詳しく知っておくと、自身で対応できる項目と依頼した方がよい作業の取捨選択がスムーズにできます。制作会社によっては維持費が無料の企業もあるので、ぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
費用を最小限に抑えることも大切ですが、提供するサービスによっては迅速なトラブル対応を求められるケースもあります。あらゆる不測の事態に備えて、より良い管理を行いましょう。